Interview
2012年のセントネーションズ設立当初から、サステイナブルな仕組み作りとビジネスの拡大を両立してきた弊社代表石坂。
企業活動の方針は一貫して、 廃棄ゼロの徹底、従業員の生活水準底上げ、次世代へのアプローチの3つに注力してきた。
事業の安定化を機に、石坂が追求するサステイナビリティの対象は企業という枠を超え、社会問題の解決にも向けられる。
本コーナーでは対談インタビューを通じ、セントネーションズと関わりのある団体や事業を連載していく。
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記念すべき第一回は
「子供は未来の主人公」を掲げる、母子家庭支援団体の小山氏(NPO法人リトルワンズ代表)と弊社代表石板との対談。
両者が目指すサステイナビリティと、その課題について語っていただいた。
小山氏は、NPO法人リトルワンズの代表を務め、ひとり親家庭の支援を食・住まい・雇用・情報の側面から支える活動を12年続けている。
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No.1 小山訓久
NPO法人リトルワンズ代表
1977年東京都生まれ。オレゴン大学心理学部卒。専門は社会心理学。2008年に母子家庭と子どもたちの支援を行うNPO法人リトルワンズを設立。同、代表理事。自治体の計画委員、「おやこカフェほっくる」の運営、子育て団体の支援のほか、全国で講演やレクチャーを行っている。
[主な著書]
『親子カフェのつくりかた: 成功する「居場所」づくり8つのコツ』(学芸出版社)
NPO法人リトルワンズ概要:
企業、行政と連携しながら、母子家庭と子供たちに情報、就労、住宅、生活など包括的な支援を提供。習い事に対して奨励金を創設、いち早く住宅、情報支援を行い東京を中心に全国からの相談に対応している。
2018年 World Habitat Award を受賞
国連ハビタット本部にて、受賞式とスピーチを行った。
2019年社会貢献支援財団受賞、賀川豊彦賞受賞。
NPOリトルワンズ公式サイト:https://www.npolittleones.com/
本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、お二人の考えるサステイナブルな取り組みについてきかせてください。
- 小山氏
- 石坂さんお久しぶりです。よろしくお願いします。
- 石坂
-
こちらこそよろしくお願いします。
まず、社として取り組んでいるサステイナブルな活動は、ものを余らせない、廃棄させないことですね。
商品として出品できないものは、店頭のディスプレイに使用したり、処分せずに利用することを徹底しています。
いくら材料が地球に優しいもの、繰り返し使えるものだとしても、在庫を抱えて溜めるということは作ったものが無駄になることだし、意味のないことだと考えてますね。
セントネーションズのビジネスと直接的な関係はないですけど、僕はずっと食料廃棄に関心があって。
毎日、ものすごい量の食べ物が消費されずに廃棄されているじゃないですか。その一方で、飢えていっている人がいるっていう、このアンバランスさを将来、どうにかしていきたいと思ってます。
小山さんの活動に携わってるのも、僕じゃ手の届かない範囲に触れてらっしゃるからでもありますね。
あと、これは僕の中の一つの仮説なんですけど、勿体ないとか福祉的な問題を解決していくビジネスが、将来一番発展していくんじゃないかと考えていて。
目先の利益だけを伸ばすのではなくて、社会問題を取り上げることが、意外と簡単に、ビジネスを大きくしていく突破口になり得るんじゃないかと思うんです。 - 小山氏
-
おっしゃる通りですね。
まさに私の取り組んでいる食の支援は、コロナ禍で加速したのですが、ホテルやイベントで振る舞うはずだった、行き場の無くなってしまった物資、業務用のレトルトや生鮮食品をお母さん達に届けています。
どうせ捨ててしまうのなら、もらって必要な家庭に配ったら、無駄も防げて栄養にも配慮できますし、いいことばかりですね。
それから、すでにあるものと必要な人を繋ぎ合わせるという点では、空き家をリノベーションして、お母さんたちに貸し出す活動もしています。
国からの助成金を利用するので、オーナーさんの負担もないし、お母さんたちも市場よりも安く借りられて、誰も損をしない仕組みですね。それに、空き家や空室があって使いたい人がいるのに、勿体無いですからね。 - 石坂
-
今の食や住宅の支援もそうですけど、もののつなぎ合わせをしていくという観点だったり、問題意識があるという前提で世界を見ているから、必要としている人のことまで考えることができるんでしょうね。
今後、小山さんのような活動への支援は続けていきたいですけど、いきなり縁もゆかりもない土地に支援するというよりは、まずは自分たちの手の届く範囲で、何かしていきたいって思っています。ゆくゆくは、取引のある海外15ヶ国にも、活動範囲を広げてきたいですね。 - 小山氏
-
素晴らしいお考えですね。
本来支援には女性も男性も関係なく、一人の人間として、本人が持っている力を引き出してあげたり、それぞれの”quality of life”を補償することが、当たり前なはずなんですよね。
私もアフリカや色々な国に行きましたけれど、まずは自国の福祉を考えることが、グローバルスタンダードでは当然なことなので、石坂さんの考えは本当にグローバルだと感じますね。
共通して、世の中のバランスを整えていく、という考えをお持ちなのですね。雇用に関する支援は、何をされていらっしゃるのですか?
- 写真
- クリスマス会にて講演を行う小山氏
- 小山氏
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ちょうど最近始まったもので、沖縄の母子家庭の就労と就労環境を、どうにかしようと動いています。日本の休眠口座の預金を使って、世の中に還元していく取り組みが、全国6ヶ所で始まりまして、その1ヶ所が沖縄なんですね。
ただ、我々が向き合っている現地の企業は本当に視野が狭くて。県内の生活しかしたことがない人が、7割もいる中で全て解決しようとしているので、規模も小さく、経営面での視点は広げていかないと難しいですね。
ぜひ、石坂さんのような方に、喝を入れていただきたいものです。 - 石坂
-
僕は厳しいことで有名なので、喝なんか入れたら誰もいなくなっちゃいますよ。笑
でも会社をやってくる中で、まともな生活が送れる雇用を生み出していくことが、企業活動の一つだと考えていて、それを考慮した上で、会社にも利益が出る仕組みを作ってきたんですよね。
だから、うちの正社員の販売スタッフの給与は、ひとり親家庭でも生活していけるか、という観点で、月30万という業界としては高い給与設定にしているんです。
それこそ、沖縄のここで香水売るの?みたいなとこでも、出店して雇用を生むことはできますね。ものすごく赤字では困りますけど、そこで売れる方法を考えて、実行することが僕ができることだと思ってて。それで成功できるなら、もう、どこいってもビジネスができるじゃないですか。 - 小山氏
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おっしゃる通りですね。
お母さんの仕事を選ぶ選択肢の一つになりますし、給与面での心配がなくなれば、子供達の視野も、広く保つことができますね。 - 石坂
-
そもそも僕が支援をする理由は、自分の足で歩く人になって欲しい、っていう思いがあるからなんですよね。
子供の時に憧れていたヒーローって、地位とかお金とか関係なく、率先して誰かの盾になってしまう、鬼滅の刃の煉獄さんような熱い主人公だったはずなんです。
それが、いつしか名誉がある人、権力がある人に憧れを抱くようになってしまって。みんな、今いる地点と理想とのギャップを感じて、苦しくなってしまうんですよね。だから僕は、子供の頃に思い描いていた、誰かを引っ張り上げるようなヒーローでいたいなと思うんです。
そのためにも、生活をある程度のところまで補償していくことが、企業としてできることだと思いますね。人間お金に困窮すると、どんどん視野が狭くなっていってしまいますから。
また、部下にも同じように自立を願って指導をしています。それが厳しいって言われる原因でもあるんですけどね。笑
でもやっぱり社員も、うちの会社はこんな支援をしているんだって、他人事でいるのは違うと思うんですよ。そういう人は、僕がやっていることに乗っかってるだけだから。
自分が働いている会社が、こんな思いでこんな活動をしてるんだと知って、少しでも思いが変わって、問題意識を持ってくれたら、行動も180度変わっていくと思いますね。 - 小山氏
-
こんなことをおっしゃってくれる上司は、そうそういないですね。
この国では、お母さんやひとり親の子供達を、可哀想な人という扱いをするんですよね。社会的立場は、確かに弱いかもしれないですが、生活を保証されるのは当然のことなんです。
もっと、石坂さんのように、個人の幸せや豊かな生活へのアプローチに、関心を持つ人が増えて欲しいですね。子供達にも、心の熱いヒーロー像を持ったまま、育って欲しいものです。 - 石坂
-
そうですね。
とにかく、うちで創出できる雇用の給与水準は、高く保っていきたいですね。これからも僕なりのやり方を通して、日本の給与水準の底上げをしていきたいし、それができれば、ひとり親家庭の仕事の選択肢も増やせると思うんです。
沖縄の件はぜひ声かけてください。一緒に何かできたらいいですね。 - 小山氏
- おっしゃる通りですね。テナント探しでしたらお手伝いできますし、やっていただけることもありそうなので、ぜひ連絡させてください。
今回のような対談を通して、お互いにできることを提供し合える関係は素敵ですね。お母さん達の雇用は、次世代の支援にも繋がると思うのですが、関わっている子供達のお話もお聞きできますか?
- 写真
- クリスマス会での子供たちの様子
- 石坂
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一度、小山さんから、子供たちのビデオを送っていただいたんですよね。ただ小さい子が泳いでるだけの動画だったんですけど、見てたら、ものすごく元気が出てきたんです。
それを見て、そういえば子供って起きてすぐでも走り回るし、公園でも親はヘトヘトなのに、子供は元気にはしゃぎ回ってる光景って、よく見かけるなと思ったりして。
僕はこの先も、そんな子供の力強いエネルギーと、一緒に生きていきたいと思ったし、チャンスに恵まれない子をサポートしていくことは、社会のためにもなって、回り回って、自分にとってもいい刺激になっていく、という確信を持ちましたね。
さっきのヒーローの話にもつながりますけど、僕自身いろんなことを知って成長する過程で、この世の中には色々な階層の違いというか、自分は誰かにとっては上で誰かにとっては下、みたいな構想に気づいてしまったんですよね。
でも子供たちにはそんなことを考えず、前向きに元気に伸び伸びと育って欲しいし、そういう子が増えるといいなって思いますね。 - 小山氏
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応援したくなると言っていただけるのは、本当に嬉しいことです。
お送りした映像は、支援のおかげで習い事に通えるようになって、初めて25m泳ぎ切った子のものだったんですよ。
私はこれまで、1,000人以上の子供たちに会って来たと思いますけど、私も石坂さんがおっしゃるように、なるべくポジティブなまま育って欲しいなって思っていますね。
元気な子供達から溢れ出るエネルギーは、言葉にし難いものがありますよね。そういえば、小山さんから家庭に香りを届けたらどうかと、ご提案いただきましたね?
- 写真
- 弊社のディフューザー
- 石坂
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各家庭に、ディフューザーを贈ろうというものですね。以前にもうちのボディーソープを贈らせてもらって、好評だったと伺ったので、再度お話をいただけて光栄でしたね。
僕は、部屋に香りがあると、心にも身体にも良いと思っていて。いい香りがすると、深呼吸をしようとするじゃないですか。呼吸が深くなる回数が増えると、リラックスもできるし、ふとしたときに安らぎを感じられて、ポジティブなサイクルが作れると思ってるんです。
この取り組みが、香りに注目するきっかけになったら嬉しいですね。 - 小山氏
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前回いただいた品を、子供達にも大変喜んでいただきまして、再度香りを贈ることを、提案させてもらいました。
それこそ消臭剤なんかではなくて、心の環境を良くするためのもの、ですからね。日本で香りを届ける支援は、一度も行われたことがなかったので、世界でも評価に値する活動だと思いますよ。 - 石坂
- 今後、会社を作ってから、僕が今までやってきたデザインとビジネス全般を教材にして、スクールを開講しようかと考えているんですけど、いつか小山さんのところから、フレグランスに興味を持って、フレグランスプロデューサーを、継承していってくれるような子が、育ってくれたら嬉しいですね。
- 小山氏
- それは素晴らしいですね。今、まさにポジティブマインドを持って、芽が出てきた子供たちもたくさんいるので、選択肢のひとつとして与えてあげたいですね。お母さんたちも、喜ぶと思います。
子供達の成長が楽しみですね。これからも、ポジティブな連鎖が続く支援ができたらと思います。小山さん、本日は貴重なお話ありがとうございました。
- 最後に
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香りを受け取られたご家庭より、素敵なメッセージをいただきました。
「ディフューザーが先程届きました!早速開けてリビングの机に飾りました。
子供も私もアロマオイルが好きなので、これから部屋が素敵な香りで満たされると思うと嬉しいです。
みなさん大変なこのご時世に、このようなお心遣い、大変ありがたい思いでおります。
本当にありがとうございました。」